SHIN・MACHIKOUBA

シン・マチコウバ

大阪市東成区にあるプラスチックの製作会社である湯本電機株式会社の新社屋計画の第1期。

製作の依頼が大変多く製作機械を止めることなく本社工場の建て替えを行うの事が困難な為、別の建物に製作機械を移設するなど本社の建て替え方法のパターンを検証している際に、今回の計画地である隣接した土地を借地できることとなり、今回の計画がすすむ流れとなった。

全体計画は今回の第一期建物と、隣接の既存本社工場の建て替えの第二期建物を結ぶことで完成に至る計画である。

当初のプレゼンから、社内の人の流れと製作の過程が道ゆく人からも垣間見える工場にする事で、より一層「ものづくり」の現場を発信できるのではないかとの考えを共有し、道路側に縦導線の階段。ガラス越しに製作現場が見えるゾーニングの提案を進めてきた。

また東成区の準工業地域での町工場の街並みは建物のセットバックも少なく殺風景のため、グリーンを建築前面に取り込むことで街に寄り添った工場ができるのではないかと模索していた。

1階は製作物の搬出入が頻繁に行われるので道路ぎわに緑地帯を設けることは難しく、上階に緑地を計画するにあたりはね出した屋外階段と一体の構造体によるグリーンボックスを作り込むことで、建物から植栽が生えているような一体感を生み出す事ができた。セットバックした建物から迫り出すグリーンベルトは通る人の目を引き「ものづくり」が行われている現場を垣間見れる機会を充分にあたえられるキャッチーな存在となった。

室内には発注者の思いをなるべく詰め込んだ空間になるように努めた。

無駄のない導線を確保し、その導線上に設備系統を配することで第二期工事の際に容易に更新可能な設備計画としている。ガラスに囲われた会議室には吸音効果のあるフローティング天井に設備機器を配置し、製品検査室ではミクロン単位の精度を追求する厳密な検査を行えるように照度と空調管理を実現した。製作機械のあるスペースには遮音と断熱を考慮し、レイアウトの可変性にも対応できるように設備計画をおこなっている。

将来は北側の増築にエキスパンションによるブリッジでつながることでグリーンベルトも延長され全体計画は完成する。

Construction:まこと建設株式会社

Structure:株式会社現代構造

Gardener:wa-so design

Photo:K’s Photo Works  野口兼史

Staff:行田英視 酒井寛子